10歳の時に父が地元の美術館に連れて行ってくれてからというもの、私は美術が大好きです。美術館にいると静かな気持ちになれます。美術館で作品を見て回るうちに、心に訴える作品に出会うことがあります。そういった作品に出会うと、一体今何が自分に訴えるのか、何が必要なのか、自分がどういう人間なのかを感じることができます。美術を鑑賞するということは自分と対話しているようなもので、作品と向き合っていると心癒されます。それは私が美術を好きな理由の一つなのですが、他にもうひとつ理由があります。
ある晴れた日に現代美術館で、私は気がついたのです、美術は何の役に立たないものだから、自分は好きなのだと。人々が重宝しなければ、作品なんてただのごみです。
私は日本で生まれ育ち、今アメリカに住んでいます。異国に引っ越すというのは、もう一度赤ん坊になるようなもので、始めはどうやって話すのか、どのように振る舞うのかも分かりません。この国に来てから、自分は何者でもない無用の長物だと思ったことがありました。生涯を掛けて築いてきた自信とプライドは無くなってしまいました。美術を愛するというのは私に取って自分の存在を認めるようなものです。他人にとっては何の意味の無い作品でも、自分がその作品を愛する限り、存在価値が生まれます。私達が何かを愛する限り、それを意味ある存在にすることができるのです。これが私が美術を愛する本当の理由です。
On a sunny day, at a contemporary art museum, I suddenly realized that I love art because art is totally useless in a sense. Art works are just pieces of trash if people do not treasure them. On the other hand, as far as I love them, there is a meaning in them, no matter how meaningless they are for others. My love turns them into something significant.
This is like accepting just the way I am. I came to the US a few years ago, and initially I didn't even know how to speak and how to behave in this country. It was like becoming a baby again. There were times I felt I was nothing but useless. All the confidence and pride I had developed through my life in Japan were gone. However, by realizing why I love art, I regained self-esteem; I was able to start feeling that I am an important person because there are people who make good friends with me. In turn, this gave me even greater love for art. This is the true reason why I love art.