忘れないうちにヨーロッパで食べたものについてお伝えせねば!と思っているうちに、アメリカでは感謝祭があり、休みが明ければ、もう師走になっていました。感謝祭が終わると街はもうクリスマスムード一色です。クリスマスがやって来る前に、イタリアで食べたおいしいものの話をしたいと思います。
イタリアへ行ったら皆が絶対に食べたいと思うもの、それは本場のジェラートでしょう。もちろん食べて来ました。数あるジェラテリアの中でもダントツでおいしかったのは、ローマの老舗ジョリッティです。目移りする程数多くのフレーバーがありますが、ピスタチオやチョコレートなど、どのフレーバーをとっても素材そのものの自然な味が引き立ち、滑らかなジェラートの食感と絶妙の組み合わせです。そこに生クリームを添えて食べるのがイタリア流。やはり本場の味は違うと思わせくれた贅沢な味でした。
ローマの次にフィレンツエとその近郊を訪れました。トスカーナ地方はその豊かな食文化で知られています。長い旅を振り返ってみると、やはり一番美味しい物を食べたのは、ここトスカーナ地方だったように思います。レストランでの食事はもちろん、この地で驚かされるのは街で手に入る食材のレベルの高さです。日本やアメリカでは高級食材店でも手に入らないレベルの生ハムやチーズが、スーパー・マーケットで数百円で販売されています。それにワイン、パン、果物を添えれば申し分の無いディナーの完成です。ワインもまた高品質のものが手頃な価格でずらりと並んでいます。特にスーパー・トスカンと呼ばれる稀少なワインが地元では手頃な値段で手に入るので、是非試して欲しいと思います。重すぎず、軽すぎず、風味豊なスーパー・トスカンは正にトスカーナの食を楽しむのに最適なワインだと思います。
フィレンツェから足を伸ばし、近郊の小さな街、シエナとサンジミニャーノにも行って来ました。これらの街には電車が通っていないため、バスを利用しました。サンジミニャーノへ行くためにはバスを乗り継がねばならず、交通に不安があったのですが、行ってみると難しいことはありませんでした。乗り継ぎ地点では鉄道の駅と同じように、次にどの便が来るか、分かりやすく電光掲示板に表示があります。
バスを乗り継ぎ、サンジミニャーノに降り立つと、ものものしい壁が街を取り囲んでいます。サンジミャーノは中世の趣をそのままに残す、城塞都市で、14本の塔が今に残されています。街の周辺はどこまでも続く葡萄畑で、眺めても眺めても、見とれてしまう程、静かな景色でした。時を止めたようなこんな場所が現代に残っている事に驚くばかりです。この街をひと目みるために、遥々やって来た甲斐があったなあと思いました。
そこから更にバスで行くこと数十分。もうひとつの古都シエナに行って来ました。シエナには「世界一美しい」と言われるカンポ広場があります。本当に美しい広場でした。観光客で溢れていますが、その完璧なまでの広場を前に、そんなことなど全く気になりませんでした。そしてカンポ広場から、広場を取り囲むように続く道を伝って行くと、もうひとつのシエナの見所、大聖堂にたどり着きます。この大聖堂はフィレンツェのドゥオモ程有名ではありませんが、その荘厳な佇まいと存在感はフィレンツェのドゥオモ以上かもしれません。繊細で緻密な姿は壮麗そのものです。シエナに行くことがあったら、カンポ広場だけでなく、このドゥオモも是非見て欲しいと思います。
そ・し・て、忘れてはならないのは、もちろんおいしいもの。食べて来ました、感じて来ました、トスカーナの実力を!本当はトスカーナ地方の名物・ビステッカ・フィオレンティーナというTボーンステーキを食べたかったのですが、注文は何と一キロからということで、ここはあきらめて、トスカーナ風のステーキを頂きました。上質の赤身の肉の表面をさっと炙ったステーキにルッコラとパルミジアーノを削ったものがたっぷりと載ってきます。血の滴る新鮮な肉にパルミジアーノの濃厚な風味、ルッコラの爽やかさが絶妙です。これを赤ワインと一緒に味わえば、気分は最高。イタリアン・スタイルのステーキを堪能しました。アメリカではステーキといえばシンプルに焼いて、塩こしょうをするくらいなのですが、これからは上質な赤身が手に入った時には目先を変えて、イタリア風に頂くのもおいしいなあと思いました。ワイン、税、チップを入れても3000円くらいだったと思います。大満足でした。3000円でこれ程においしい食事を取れる場所は、世界を見ても余り多くはないのでは無いでしょうか。VIVA ITALIA!
GIOLITTI
住所:Via Uffici del Vicario 40, Roma Italia
電話:06-6991243
La Taverna di Cecco
住所:Via Cecco Angiolieri, 19, Siena, Italia
電話:0577-288518